狼男  無限自殺 編


「君は少し【優しすぎ】ないか・・?」


「・・。」


「勿論、悪い事じゃない。
だけど少し疑問に思った。」


「・・。」


「君はちゃんと・・
【叱る】事ができるのか?って。」


「・・。」


「俺はずっと1課で“殺人”事件と向き合ってきた。

だから交通機動隊は畑が違うけど・・でもその業務を全く知らないわけじゃない。」


「・・。」


「白バイ隊員の任務は主に“交通違反取り締まり”。

“殺人犯”という・・理性を越えたある意味で“特殊人”を相手にする俺達と違って、

君たちは“一般人”を相手にする事が圧倒的に多いと思う。」


「・・。」


「例えばスピード違反一つにしても、
決して悪人が犯すだけの違反じゃない。

主婦だろうがサラリーマンだろうが若者だろうが高齢者だろうが・・

誰だって犯してしまう事もある。」


「・・。」


「1課の仲間達は、
心を鬼にして殺人犯と戦う。

人の命を奪った人間が相手なんだから、

もし綾野が1課に居たとしてもきっとそうすると思う。」


「・・。」


「だけど君は・・今日の婚約者君や、

コーヒーを持ってきてくれたお姉さんのような人がスピード違反を犯した時、

毅然とした態度でちゃんと反則切符を切れるのか・・ちょっとだけ疑問に思った。」


「・・。」

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