狼男 無限自殺 編
<キョウスケ見て。>
右耳から付けたイヤホンで藪さんと段取りを確認していたら・・
左耳から・・まるい探偵事務所 秘書の椿 ユカリさんの声が聞こえてきた。
“三者通信なう”なので、藪さん⇔ユカリさんで何か打ち合わせ・・?
<なんだユカリ?>
<アンナさんが選んだ下着。>
<ん?Tバックか。>
<[適当]に選んだのがTバック。>
なっ・・!?
「ち、違います!!たまたますぐ手に取れる所にあっただけで・・私はエロ女じゃないです!!」
<ド阿呆。声が大きいんだよ。>
<アンナさん。まだ何も言ってないじゃないですか。>
右耳からはいつものお叱り、
左耳からはいつものからかい・・。
<小松。D子が入店するぞ。
ターゲットから目を離すな。>
気を取り直して、そ~~~っとフィッティングルームの扉を少しだけ開ける。
このショップの店員として働くターゲットのB子さん。
依頼人のA子さんが突き止められず、
暴けなかった浮気の証拠。
・・B子さんとD子さんの密会場所。
まずはユカリさんから預かった音の出ないスマホを構えて、
来店したD子さんに接客するB子さんを撮影する。
さりげなく・・指を絡ませる二人を・・。