狼男  無限自殺 編



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待ち合わせ時間から10分後、小走りでやって来たその姿にお辞儀をする。


「ハァハァ・・ごめんなさい遅れてしまいました・・。」


「あ、いえ・・・大丈夫です。」


「・・あ!しまった・・・。
手ぶらで来るのは非常識ですよね・・。」


「あ、いやいや・・きっと手を合わせて頂けるだけで喜んでくれると思います・・。」



今日はシンジ君の月命日・・。

流れの中で、“出所してから続けているお墓参り”の話をしたところ、

“俺も行っていいですか?”
と返ってきたやり取り。


目の前でもう一度“ごめんなさい”と謝った・・

神奈川県警の玉置 ユウマ刑事と隣り合って墓地へと向かう。



玉置さんは・・あの時・・
私に手錠を掛けたお人。


私を逮捕した刑事・・それと同時に、

シンジ君が私の為に買ってくれた指輪を出所まで大切に保管してくれていた恩人・・。


以前の連続殺人鬼コスプレドイツ人さんの事件で再会して、

今ではたまにやり取りをさせて頂いている・・服役して何も無くなった私にとって、

まるい探偵事務所以外のコミュニティだった。


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