狼男  無限自殺 編


“次にまばたきをした瞬間に殺る”


お互い分かっているからこそ0.01秒の視界の隙も見せられない。

レーシック手術を終え、1.5まで回復したこの両目が相手の目と合いながら・・


「・・。」

「・・・・・・・・・・・。」


来る・・!?


「・・
「・・・!!


「そこまで。」


・・・。」」



・・・・・・・0.5歩分・・
俺の方が遅かったな・・。


傍から見ていてもそれが分かったからこそ、
“止め”の合図がかかった。


「今回はユウマ君の負けですね。

これで対戦成績はユウマ君の10勝7敗。
ジワジワと巻き返されていますよ。」


「ふぅ~~・・・・。」
「・・。」



持っていた木刀を左手に持ち替えて礼をすると同時に、一気に額から汗が噴き出し始める。


「それにしても相変わらず2人とも手の抜き方を知らないようですね。

木刀と言えども、お互い“殺意”が滲み出てましたよ。」


「お互い、こんなところで相手に殺されるようだったら、

【怪人】なんかには敵わないと自覚してますから。」


「・・。」



神奈川県警 刑事部。

そのトップに立つ椿 刑事部長へも一礼したところで、ようやく少しずつ・・

先程まで張り詰めていた緊張の糸が緩み始める。

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