狼男 無限自殺 編
「綾野。負け惜しみと捉えられてもいいけど、さっきの鍔迫り合いはあと1秒早く離れろ。」
「・・。」
「“押し切れない”と判断したらすぐに離れるのが大事だ。
拮抗すればするほど距離が近くなるって事だから、怪人に何をされてもおかしくない。
俺もヴァンパイアと戦った時、
その瞬間に目を潰された。」
「・・。」
神奈川県警 刑事部 捜査1課。
主に殺人を担当するこの部署で日夜犯罪者と戦っていた俺は、
ある事件で仲間のほとんどを失った。
尊敬していた上司・・
共に正義の為に走り回った先輩・・
次の世代として育てていた後輩・・
一夜にして一瞬にして奪われた絶望と共に、知らしめられた【怪人】という化け物の存在。
“人の姿をしている怪物”
事実は小説よりも奇なり・・
とでも言うのだろうか。
俺自身も2回死にかけたけど・・
それでも生き残った。
だから仲間達の命を背負った今は、
椿 刑事部長がこの神奈川県警に新たに作った部署、
“猟奇殺人対策室”・・通称【BMU】で“怪人討伐”の為にこの命を捧げる覚悟をしている。