DIYで魔法世界を再建!
第二十七章 戦争のきっかけは、いつだって『人間』
そもそも、戦争が起こったきっかけというのが、一方の国が喧嘩をふっかけた事による、『領地略奪』が目的だった。
喧嘩を仕掛けたのは、軍事力や圧力で周辺の諸国を次々と飲み込んだ、通称『国を飲み込む海蛇』とも言われる、海に面した大国、『ベヒモス大国』
ベヒモス大国は、今までの間にいくつもの戦争を仕掛けては、敗戦した事のない恐ろしい大国。故に、様々な諸国から危険視されていた。
また、ベヒモス大国は他の国とは比較にならない程魔力を消費していた。その原因としては、ベヒモス大国が使用していた『兵器』が関わっているんだとか。
私が生きていた世界でも、戦争が幾度となく行われていた。ただ私は歴史だけ知っているのみで、武器に関しては無知である。
外国の紛争地帯の映像が時々テレビで報道されていたいけど、やっぱり大昔の戦国時代と違って、遠距離で攻撃ができる『銃』が一般的だった。
しかし、この世界の場合は違う。例えるなら、『魔力』は『銃弾』なのだ。その銃弾を撃ち合う事で、相手を圧倒させたり、隙を作ったりする。
実際にその兵器を見ないとよく分からないけど、多分そんな感じの認識で間違ってはいないだろう。つまり、この世界の兵器とは、『大地の魔力を自動的に攻撃手段にする物』
ただでさえ日常生活でも魔力を消費する、それに上乗せさせる魔力も考えると、この世界が衰退してしまった理由も、簡単に分かってしまう。
要するに、燃料(魔力)を使い過ぎてしまったのだ。その結果、日常生活も衰弱して、数少ない魔力でさえも戦争へと回されてしまった。だから国から逃げる人々も後を絶たなかった。
国への出入りは、基本的に自由な国が多いそう。もちろん国によっては手続きが必須になる場合もあるけど、そこまでシビアでもなかったんだとか。
ただ、戦争が激化すると、各国の住人が減り、国への出入りが禁止になってしまった。国から一歩でも外に出ると、その時点で処刑されてしまう国もある程。
ベヒモス大国では。元から国への出入りが相当厳しい国だったらしい。その訳については・・・色々と察せるけど。
だからヌエちゃんも、家族達の手を借りながら、国から脱出したのだ。辛い状況になって変わってしまうのは人間だけではない、人間が生み出した社会、人間が支える国ですらも、変貌してしまう。
ヌエちゃんの一族は、代々住まわせてもらっている国には、何かと恩義があったんだとか。ただ、もうそんな事を考える余地すらなかった。
兵士として駆り出された人は数知れず、しかもその戦地へ赴いた人間は、誰一人として帰って来ない。
帰って来れたとしても、もう既に『原型を留めていない』か、『使い物にならなくなった』か、そのどちらしかない。そうなる前に、ヌエちゃんの両親は、娘を逃したのだ。
< 102 / 223 >

この作品をシェア

pagetop