DIYで魔法世界を再建!
第三十章 救いの手を喜べない身分
「ユキナさん・・・
 散々助けてもらって、申し訳ないのですが・・・
 ・・・私からのお願いを、一つだけ聞いてもらってもいいですか?」

「・・・??」

神妙な面持ちになった彼、その顔からは、ジワジワと冷や汗が滴り落ちている。私も息を飲んで、彼の話を聞いてあげた。
そして、彼の話から全てが理解できた。何故彼がこれほど助けられた事を喜べないのか、さっきから青い顔のままなのか、何故ガリガリになるまで彷徨い続けていたのかを・・・

「・・・私の出生国を・・・『偽って』くれないでしょうか?」

「『偽る』って・・・何故??
 元々罪人とか、盗賊とかだった・・・とか?」

「いや・・・あぁ・・・そうなのかもしれない。
 私はそれと同等か、もしくはそれら以下の人間だ。」

「???」

「私の出生国を知るだけでも、全員が『敵』になってしまう。ただもう・・・そうも言っていら
 れない。君が助けてくれなければ、私はあのまま朽ち果てていた。」

「別に貴方が罪人だろうと盗賊だろうと気にしません。自分の罪を悔いているなら尚更です。仮
 に貴方が過去に罪を犯した人間だとしても、もうそれを知る人間なんて、一人もいないんで
 す。
 ・・・むしろ、この世界の中で生き残ってしまっているわけですから、貴方も含めて私も罪人
 です。世界の寿命をすり減らした私達人間が、こうしてのうのうと生きているんですから。」

「・・・君は・・・賢明だね。君なら、信用して話しておきたい。

 私が、罪深き大国

 『ベヒモス大国』出身である事を。」

「っ!!! ベヒモス大国って・・・!!!」

「そう、その国の名前を知るだけでも、君の様に青ざめてしまう。それくらい恐ろしく、哀れな
 国だからだ。」
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