DIYで魔法世界を再建!
この頃は、飢獣用の防衛設備も整い、この林も着々と広がっている。道具を皆で作り、便利な道具を試行錯誤する毎日。これこそ文明が進んでいる証拠だ。
私はいつの間にか、皆から『村長』と呼ばれるようになり、何かと頼りにされたり、感謝されたりを繰り返す。でもやっている事は当初と殆ど変わらない。
最近はこの林に住んでいる人間の数も10人を突破して、男女比率も五分五分だ。これが一番バランスが良い。まぁ私はどっちにも属する事ができるんだけど。
そして、この林に住んでいる人間全てに、ちゃんとした『役割』を与えた。畑担当・林拡張担当・飢獣担当・・・などなど。
主に畑を担当するのは女性、飢獣を退治するのは男性。武器の扱い方や戦い方は、歴が長い私が仕込んであげた。その結果、ついたあだ名が『兵長』
だんだん私のあだ名が増していき、このごろはどれが私のあだ名なのか分からない。完全に偉人の異名みたいな扱いではある。ちょっと複雑。
そして、人手が増えると当時に、やる事もどんどん増えていく。いつまでも林の自然に頼ってばかりもいられない。精霊さん達にも申し訳ない。
まず、資源である木を育てる為に、『植林』を初めた。また、手をつけてはいけない箇所も作成しておいた。そうすれば、無駄に資源を採りすぎる心配もなくなるから。
実は、この林に来たばかりにシーズさんが、植林専用の栄養剤の作成に成功したのだ。さすが専門家は違う。
次に、『布生地』が作れる様になった。特定の植物の繊維を束ねる事で、カラフルにもできるし、作法次第では様々な型の服が作れる。
まだ素材自体が貴重ではあるけど、この繊維が定期的に収穫できれば、衣服の事情も解決する。日を追う毎に、やる事も人手も増えていく。一つの組織として、しっかりと成り立ち始めた。
そして、近ごろは『家の建設』にも着手するようになった。
私だけがこの教会に住んでいると、広く感じてしまうのが自然だ。でも、人がどんどん増えていくと、空き部屋がどんどん減り、いつの間にか窮屈に感じる瞬間が多くなった。
それはそれで喜ばしい事ではあるけど、そろそろ個別の家も考えないといけない。土地はあるし、素材もある。後は行動に移すだけ。
私が現場監督になり、ヌエちゃん達が組み立てる。かなり大掛かりな作業にはなるけど、皆なんだかんだ楽しんでいる様子だ。
確かに、自分達の住む家を自分達で作るなんて、ロマンがある。私もやってみたいけど、まず優先すべき人からだ。
ヌエちゃんやシナノ様は、「この教会に住み続けたい」と言ってくれた。まず優先すべき人は、『家族』や『兄弟姉妹』を連れている人。
一人で迷い込んだ人も多いけど、今後はそうゆう人達には、『シェアハウス』を提供するつもりだ。まだまだ素材が安定しているわけでもないから、一人の為だけに一軒家を立てるとなると、素材が尽きそう。
だからこそ、独り者同士を大きな家に住まわせれば、コストも減るし手間も減る。まだ飢獣の脅威もあるから、なるべく独り者同士て固まってくれた方が、リスクも減る。
その意見には大勢が賛成してくれた。今決まっているのは、作る場所と範囲くらい。材料とかは話し合って決めるつもり。
荒地だった部分も、魔力を流し込めば普通の土地として復活できるし、立地に関しては時間との問題になりそうだ。
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