DIYで魔法世界を再建!
教会のホールは、いつの間にか『談笑部屋』になり、そこでお茶を飲んだり、収穫した作物を見せ合ったり、時々『DIY授業』も開いている。
時々シーズさんが使っている『薬品』の臭いがするけど、それは仕方ない。シーズさんは木に与える栄養剤の他にも、『風邪薬』や『傷薬』も作ってくれた。
私も一応作れるけど、効き目が芳しくない時もしばしば。多分、作る段階で何かしらの不純物が混ざった可能性もあるし、精密に重さを測れない影響で、効果がめちゃくちゃになってしまう。
ただ、シーズさんはそんな問題にも冷静に対処していた。国で学者をしていた頃の記憶がまだ残っているらしく、私よりもよっぽど効果のある薬を短時間で作る。
私は、本当の意味で『司令官』としての立ち位置になった気がする。何故なら様々な役割に、『適任者』と『適度な人手』が配属されたからだ。
最近の私の仕事は、皆の仕事の出来に応じて、次に着手するDIYや提案を考える事。家を作る計画も、いよいよ手をつけなければならない。
布を作る工程で『紙』の作成にも成功したから、設計図を建設者全員に配布できるように、自らの手で模写を続ける。
ガスや電気には至らないけど、適度な魔力の消費によって、ある程度しっかりとした暮らしができている。
精霊さんから、「魔法なら私が教えるわよ」という発案があったけど、やっぱり断ってしまった。
別に魔法が嫌いなわけではない。けれど、それでも自分のDIY技術に満足しているのなら、これ以上の事は望まない方がいい。
そう、この世界の成り立ちをヌエちゃん達から聞いていた時、そう思った。武器を作ったり、相手を傷つける魔法は、生活を豊かにする『基礎魔法』の『亜種』
そして亜種の樹立に成功してしまったのは、恐らく『人間』の都合。本来の魔法とは、こんなにも綺麗で、こんなにも純粋であった。
それは、毎度毎度見ているヌエちゃんの可憐な舞を見ていれば分かる。ヌエちゃんだけではない、彼女の召喚獣であるシナノ様も、とても綺麗だ。
最初見た時は違和感を隠しきれなかったけど、その姿に慣れしまえば、魅力がだんだん分かるようになってくる。私がこの世界に順応できている証拠なのかもしれない。
要するに、この世界の魔法は進化『しすぎた』
その結果、この世の全てが壊れてしまい、その壊れてしまった全ての文明を、私達で取り戻さなければいけない状況に陥ってしまった。
< 119 / 223 >

この作品をシェア

pagetop