DIYで魔法世界を再建！

「飢獣が巨大化する現象は珍しくないが、相手の魔力を吸い上げる能力が備わっているとは到底
　考えにくい。
　確かに飢獣は、自身の魔力が枯渇した事が原因で、あの様な姿になった。だが、同時に思考も
　理性も失っておる。
　あの様な芸当、相当な集中力と技術が必須になる、高度な魔術でも使わん限り無理だ。だがそ
　もそも、魔術を扱える飢獣なんて現存しない。
　・・・それに、もしアレが魔術が使える飢獣だとしても、辻褄が合わない。
　相手の魔力を奪う『魔術』なら存在するが、その技の本質は、相手の魔力を奪って自分のもの
　にするのではなく、相手の魔力を強制的に枯れさせる為の魔術だ。」

「・・・つまり、アレはそもそも飢獣でもなければ、普通の生物とも考えにくい・・・と。
　でも・・・アレはどう見ても人間ではなかった。」

シナノ様でも完全に頭を抱えるレベル。他の住人達からも話を聞いたけど、やっぱりあんな姿の生物や飢獣はいないとの事。
・・・それに、対策しなくてはならないのは、あの正体不明の龍だけではない。あの黒い龍が現れてから、住人達の精神も不安定になってしまった。
皆の不安に気持ちや葛藤は、日に日に増していくばかり。食欲がない人もいれば、情緒不安定になってしまった人もいる。
かすり傷や風邪は、適切な薬を使えば治療できる。ただ、『心』の傷や『心』の不具合は、どんな薬でも対処ができない節がある。
こればっかりは、時間に頼るしかない。ただ、時間が経てば経つ程、皆の不安は増すばかり。それもそもうだいつあの恐ろしい怪物が現れるか分からない中で、いつも通りの平穏な日常が送れるわけがない。
怯えている人の中には、外に若干トラウマを抱えてしまった人までいる。あの黒い龍が来る前兆というのも、突然すぎるから対処にも限界がある。
しかも相手は、空中を自由自在に飛び回っていた。地面に柵を刺してもほぼ無意味。木で作成した弓矢で対抗できるとも、到底思えない。