DIYで魔法世界を再建！

「・・・ヌエちゃん、魔力を使った『結界』とかって作れないかな？」

「結界自体は簡単に作れる・・・けど・・・
　あの巨大な化け物相手に、私達が全身全霊を尽くした結界が通用するのか・・・
　それにアイツは、周りの魔力を容赦なく吸い上げていた、結界を作ったところで、アイツにと
　っては単なる『餌』になるだけかも。」

奴の一番厄介なところは、近づかれただけで魔力を奪われてしまう事。
ヌエちゃんは数日休めば復帰できたけど、魔力を吸い上げられるという事がどれほど恐ろしいのか、魔力を持たない私でも、身をもって理解した。
住人達が一斉に具合が悪くなってしまったのも頷ける。魔力の塊である精霊さん達が全員参ってしまう程の影響なんだから。魔力を扱える人間にも、影響が出ないわけがない。だが、被害を受けたのは私もだ。一応ブローチの縁だけは無事だったけど、肝心のレンズが木っ端微塵に砕けてしまった。
後からブローチが砕けた地点に行ったけど、案の定欠片はひとつも見つからなかった。もうブローチの前に物を翳しても、名前を調べる事も有毒性を調べる事もできない。
今が一体何時なのかも確認できないし、あの黒い龍の正体も調べられない。ブローチさえ使えばある程度は分かると思っていたけど。
・・・まさかあの黒い龍が、それも考慮した上だったのかは定かではないけど、完全にあの黒い龍の前に、私達が成す術はない。