DIYで魔法世界を再建！

人間の生きられる期間は限られる。だから後世に事実を伝える為に、『物語』として伝える手段も珍しくはない。
もしくは、人々との戦いを神話風にアレンジした物語なのかもしれない。どっちにしても、今を生きる私達には、調べるにも限界がある。
ただ、シーズの母親は、その神話に語られていた『古龍』へと変化した。自らが国を勝利へ導く為の『兵器』になる為に。
一見、とても綺麗な英雄譚にも聞こえるけど、蓋を開けてみると、それは一人の女王が齎した、取り返しのつかない『我儘』であった。
本当にこの世界の国々は、減り続ける魔力は眼中になかった。ただただ自国の勝利を優先していた。だがその結果、戦争で勝っても負けても、後に残るのは魔力の尽きた世界のみ。
そんな中でも、シーズの母親は、自分の我儘をずっと貫き通していた。一周回って尊敬に値するけど、このままにしてもおけない。
彼の教えてくれた情報をまとめれば、手段も絞られた。まず、『説得』はほぼほぼ不可能だと考えた方が良さそうだ。
まず今の女王様に、人間の話が通じると思えない。通じるとしても、彼女の本心には何一つ届かないだろう。
何とかして無力化する手段・・・は、無いに等しい。魔力はポンポン生産できない、そもそもあの古龍が林の真上を彷徨うだけでも、相当な魔力が持って行かれる。
この林の魔力が全て尽きれば、女王様も魔力が補給できずに、魔力が全部失われた世界諸共消え去ると思う。・・・だが、それでは私達が納得できないし、それこそ本末転倒だ。
一応、無力化する方法がないかシーズさんに聞いたけど、「期待はしない方がいい」とあしらわれた。
彼の母が魔力を追い求めるのは『本能』私達が空腹から逃れる為にご飯を食べたり、体を休ませる為に睡眠を取る行為とほぼほぼ変わらない。
その本能を無理やり破棄させても、二次被害が起こる可能性が高い。
女王様に付与された魔術を解く事も叶わないんだとか。そもそも彼女自身がそれを望まない限り、いくらシーズが解きたくても解けないそう。