DIYで魔法世界を再建!
「・・・おい、着いたぞ。」

砂煙に遮られて全然見えなかったけど、いつの間にか私達の目の前には、大きな壁が立ち尽くしている。コンクリートにも見えるその壁の材質、欠けている部分も剥がれている部分も全く見当たらない。
素材がコンクリートだとしても、こんなに辺りが荒れ果てている中で、この壁だけが無傷なのも不自然だ。でもその理由は、シーズさんがこっそり教えてくれた。

「この壁には特殊な魔力が組み込まれてるらしくてね、これが視界を遮断する結界の動力源でも
 あるんだ。」

「成程・・・
 確かにこの材質、明らかに自然の材質ではないからね。ヌエちゃんは何か分かる?」

「いや・・・確かにシーズさんの言う通り、この壁には魔力が含まれているのは分かる。た
 だ、これがもし、この辺りを荒地にしている元凶だとしたら・・・」

「・・・あ・・・」 「さすが、鋭いね。」

こんな大きくて高い壁の全面を魔術で覆うとなると、相当な魔力を必要とするのは、私でも分かる。ただ、その莫大なコストをどう用意するのかは・・・辺りを見れば察せる。
住民が全て国を捨て、無人となった今でも、その壁は今も機能している。シーズさん曰く、この壁は壊れる事もできないし、魔力を吸い上げる機能を取り消す事もできない。
彼の一族の先祖が、そうゆう『呪い』を加えたんだとか。そしてその呪いは、一族の長によって引き継がれる。
ただ、逆に考えると、一族の長である彼の母親が消滅すれば、この壁も呪いから解放されて、共に崩れ去る。つまり此処が、国の跡地ではなくなる・・・という事。
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