DIYで魔法世界を再建!
第五十四章 到着
「ほれっ、何をしておる。
 早く地下道まで行かないと、奴が来てしまうぞ。」

いつの間にかシナノ様が、ちょっと前までの小さな体に戻っていた。恐らく、魔力節約の為だろう。こんな場所で神々しい姿を露呈したら、あの古龍が黙ってはいない。すっ飛んで来る。
門があったであろう所には、大きな穴が空いているだけ。脇に門の残骸が散らばっているけど、跡形もない破片だらけだ。
家々が立ち並んでいたであろう箇所にも、原型を留めている家は一つもない。土台はいくつか残っているのだが、生活感は一切感じられな。
あちこちに日用雑貨の残骸も落ちているけど、再利用できないくらいボロボロだ。まるでこの壁の中が紛争で満たされていたんじゃないかと思える程、酷い光景。

「2人が唖然としてしまうのも当然です。
 術を施された母は、国の女王としての意識を喪失していたのです。」

「・・・じゃあ、此処がこれほど荒れているのって・・・」

「はい、母の暴走です。でも国民達は、母の犯した禁忌などは一切知らされていませんでし
 た。だから、突如城から現れた怪物に、国民達は成す術もなく、ただ逃げ惑うしかできなかっ
 たと思います。
 地下室に閉じ込められていた私の一族も、慌てて地下から飛び出して行ったのですが、私は禁
 忌の術に手を出した反動で、その場から一歩も動けず、瓦礫の下敷きになってしまいまし
 た。」
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