DIYで魔法世界を再建!
どちらにしても、この一帯の魔力を吸い尽くしている壁と、彼の母親を退治しない限り、話は先に進まない。
私やヌエちゃんが、なるべく足元を見ないように歩き続けていると、シーズさんが急に近くにある瓦礫を持ち上げようとする。
どうやら瓦礫の下に、地下道への入り口があるらしい。私は近くにあった木の棒を支えにして、瓦礫を持ち上げた。

「すごい・・・こんな大きな瓦礫を、魔法無しで・・・」

「それ今更?」

瓦礫を退かした所にあったのは、地面に直接設置されている木のドア。
生前、祖父母の住んでいた家にも、こんな仕掛けのある台所があった。それを初めて見た、幼い頃の私は、「秘密の入り口だ!!」と、勝手にテンションを上げていた。
でも実際に入ってみた結果、中に『居た』のは、ネズミ・・・
大絶叫した拍子に、側にあった梅干しが入った瓶をひっくり返し、大惨事に。結局その地下収納に住み着いていたネズミは、おじいちゃんが血眼になって退治してくれた。
でも、ひっくり返してしまった梅干し達は犠牲になってしまう。あれ以来、地下収納が使われなくなってしまったのは、もう本当に申し訳ないとしか言えない。

でも、シーズさんが開けてくれた扉の際にあったのは、立派な作りの石階段。それがずっと下の方まで続いている。
地下からは生温い空気が忍び寄り、外の空気を飲み込んでいた。私は持ってきた3人分のポカピカを分けて、自分自身の息や体温で温めながら、地下の道へ続く階段を降って行く。

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