DIYで魔法世界を再建!
第五十六章 行く手を阻むは 成れの果て
この飢獣達は、ベヒモス大国の人間か、それとも国の跡地に隠れ住んでいた人か。どちらにしても、私達がこの場に長居する事が危険である事を、彼らが教えてくれた。
そう、生物に何らかの影響を与えるのであれば、同じ生物である人間でも、その影響からは逃れられない。魔力が枯渇した人間も、飢獣と同様の症状を発生させる。
シーズさん自身も、母親に頼まれて飢獣の実験や研究を強制されていたらしく。その研究によって、体にいくつもの傷跡を残してしまったんだとか。
それに、飢獣と化した原因が、世界中の魔力不足である事が分かったとしても、その研究結果を誰も聞き入れようとしなかった。例え実の母親であっても。
彼の母親が望んでいたのは、飢獣の『兵器化』だったらしい。でも確かに、飢獣の威力は兵士でも手こずるレベル。兵器にすれば、分相応の成果が出るだろう。
しかし、そんな計画を練ったところで、飢獣が各国の人間に被害を出す事態は加速する一方。結局は全世界が荒れ果ててしまったんだから、計画を立てる立てない以前の問題だ。
挙句、飢獣化する現象が人間にも牙を向けた。シーズさんの話によると、彼の母親が怪物と化した際、この地下道へ逃げ込んだ親族もいたんだとか。
・・・恐らく、私達を襲う人型の飢獣の中には、シーズさんの親類も含まれているんだろう。でも彼自身は、そこまで抵抗を感じていない様子。
それもそうだ、彼の出生が悲惨だったんだから。親類に気をかける余裕なんてなかった筈だ。事情を知らない他者から見れば非情に見えるけど、私にとっては妥当な反応に思える。
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