DIYで魔法世界を再建!
「・・・ふぅ、やっと到着した・・・」

「やっとかぁ・・・
 ズズッ、鼻水が・・・」

「ほらヌエちゃんこれで拭いて。あと私のローブも貸してあげるから。
 シナノ様は平気なの?」

「ずっとヌエの肩に居座っているからな、浮いているとそれなりに魔力は消費するが、今は全然
 だ。それに私は気温の影響を受けない。」

そういえば、雪が積もる冬の時期でも、水で象られた精霊さんは、普通に私の元まで会いに来てくれた。
それに関して全く疑問を感じなかった私も私だけど、やっぱり彼らは単なる水の塊ではなかったのだ。でもまさか、剣にまで返信できるなんて思いもしなかった。その広い空間には、今まで見てきた地下道よりも生活感があった。いくつかベッドもあるし、簡易的なキッチンもある。しかしそれより、私やヌエちゃんが目を引いたのは、『本』の山。
壁を埋め尽くす多くの本棚は、立派な図書館を彷彿とさせる。しかし、それにしては尋常ではない本の多さ。しかも本のジャンルも、全て一つのみ。『魔法』や『魔術』に関連する本ばかり。
シーズさんはこの空間で、長い間人生を過ごしてきたそう。決して陽の光が届かない、密閉されたその空間。天井は広いけど、空気は濁っているし、薄ら寒い。
幼い頃から毛布をかぶりながら、日々勉強を強制されていたシーズさん。その証拠に、机の上には大量の紙が山積みになったままになっている。
その紙を一枚手に取り、内容を確認すると、私は思わず吐き気を催した。
その紙には、一面に同じ文章しか綴られていない。それだけならよく見る暗記方法ではあるけど、文字の羅列が交差していたり滅茶苦茶だったり、真面目を通り越して恐怖を覚える。

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