DIYで魔法世界を再建!
少しずつ人間の姿へと戻る王女様。さっきまでその太い巨体が天井に引っかかっていたのだが、人間の姿へと戻った事で、その体はスルリと抜けてしまう。
だがその大きさは古龍だった時のまま。今度は山姥ではなく、『巨大な貞子』になってお出ましする。シナノ様を片手で掴み取り、そのまま壁に向かって投げ捨てた。
長い髪を振り乱しながら、痛みに悶える女王様。やっとその面を拝む事ができたけど、その顔は若干予想通り、シーズに似ていないようで、どこか似ていた。
前にシーズさんが語ってていた、「私の父に関しては、息子である私自身でも分からない」と。その儚く光る銀髪でさえ、オリーブの木の様な細く高い体型でさえ、どちらの両親譲りなのか分からない。
それはそれで、とても悲しい話だ。その事情が、尚更彼の心を締め付けていたのかもしれない。でもそれは同時に、母親に対する感情が薄いという事。だから吹っ切れるのも早かったし、これだけ奔走できている。
要するに、彼は何も悪くない。悪いの母親の方だ。彼を幼い頃から薄暗く澱んだ地下へ追いやり、自由を奪い、自分の為だけに生かした『罰』
母親としても失格だが、人間としても失格だ。私の母親は早くに亡くなってしまったけど、それでも私達に対する愛情を欠かした事は一度もなかった。
人によって、これほど我が子に対しての愛情に差異が出るなんて、ショックを隠しきれない。
でも、そんな母親から産み落とされたシーズさんでも、『過ち』を『過ち』と言えるのは、彼自身の強さなのかもしれない。
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