DIYで魔法世界を再建!
ザシュッ

「・・・あ・・・」 「・・・え??」

生々しい音が聞こえたと同時に、赤黒い液体が辺りに散らばる。そして、いつの間にかヌエちゃんの前には、シーズさんが立っていた。
周りを静寂が包み、時が止まった感覚に陥る私とヌエちゃん。目に見えている光景を理解する事すらもできず、水滴が落ちる音すらも聞こえない。五感や脳が、強制的に機能を停止していた。
あまりにも突然の事で、目の前の光景が全然理解できない。何故シーズさんがヌエちゃんの前にいるのか、何故古龍の手が赤く染まっているのか。

何故シーズさんの首から・・・

「・・・グフゥ」

シーズさんが、そのまま崩れるように倒れた。水浸しになっている地面と赤黒い液体が混ざり合い、鉄の臭いが辺りに充満している。
分かる筈なのだ。分かっている筈なのだ。目の前の光景が、理解できていない筈がない。でも何故か、脳が理解しようとしない。脳に自らが訴えかけても、断固として聞き入れない。
今この瞬間、固まってもいられないのも分かっている。なのに体が動かない。目がすごく熱くて、視界がぼやけているにも関わらず、体だけが動かない。
辺りで聞こえる水滴の音すら煩く感じる。もう何もかもが『嘘』に思えてきてしまう程、『哀れな現実』を受け入れられない、ひん曲がった思考になっていた。
でも、古龍の赤く染まった手が、呆然と立ち尽くしているヌエちゃんに迫っていると分かった途端、私の体は一瞬で正常に戻った。
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