DIYで魔法世界を再建！

「トリートンの神々は、まだ懸命に生き残っている人間ですらも見捨てようとしたのだ。まぁ、
　それが自然なのだがな。
　だがなユキナよ、物事は『偶然』によって大きな起伏を迎えるのもまた事実。今頃トリートン
　の神々は、呆気に取られているだろうなぁ。」

他の世界の神であっても、素戔嗚尊様は、ひょうきんな態度であった。でも神様が言っている事も、また事実なのかもしれない。
ヌエちゃんが林に迷い込んだのも『偶然』だし、シーズさんに至っても、彼の心の闇を知る事ができたのも、言ってしまえば『偶然』
もし一つでも、その『偶然』が無かったら、この結果は生まれなかった。この『偶然』すらも、この世界の神様が仕組んでいる可能性もないわけではないけど、それを掴み取ったのは、紛れもなく私達。

「・・・じゃあ、もし姉さんがこの世界に転生しなかったら、私達は・・・」

「私もその点は諦めていたのだよ。このままヌエが荒野を彷徨い、飢えて死ぬくらいな
　ら・・・」

「でも、そんな私達の運命すらも変えてくれた。ユキナさんは、私達にとっても、トリートンに
　とっても

　『希望』そのものだよ。」

シーズさんがそう言うと、空間が再び光り始める。そして私とヌエちゃんは、暖かい光に包まれながら、そのまま眠りについてしまった。
その間際、また素戔嗚尊様の声が聞こえた。

「本当にありがとう。
　君は私にとっても、『自慢の人間』だよ。」

そんな素戔嗚尊様の、優しい言葉。その言葉から滲み出る慈しみに、私はふと口から本音が漏れてしまう。

「・・・まぁ、こうゆう役回りも悪くないかな。

　私こそ、ありがとう。」