DIYで魔法世界を再建!
第五章 付与された能力
「・・・とまぁ、こんな事があったんですよ。」

「それは・・・
 ・・・随分苦労したんだな、お前も。」

神様ですら同情する話。でも、Hさんの様な人間を一番許せない立場にいるのは、今私の目の前にいる存在だ。だがそんな神様でさえ頭を抱えるなんて、ある意味Hさんはとんでもない。
通っていた小学校は、中学校も合わさっている。つまり必然的に、中学生である期間もHさんと同じ中学へ通い、また大騒ぎに付き合う羽目に・・・はならなかった。
幸運な事に、私はそれなりに勉強ができた。その為中学校は、本土にある新学校へ通う事に。めでたく推薦も頂けたから、それ程苦労せずにHさんと離れられた。
もちろん、事情があって本土の中学へ行く人も多い。ただ、よっぽどの事情がない限り、本土の学校へ行く事は難しい。島の学校でも十分勉強できるし、本土へ行く為の運賃も安くはないからだ。
私は推薦をもらえたから、運賃もそれなりに出してもらった。推薦が決まった日は、ご近所中が大騒ぎになる程喜んでくれた。
もちろんHさんはあまり良い顔をしていなかった。そもそもHさんは授業の妨害ばかりしていた事もあって、あまり成績はよくなかった記憶がある。
私は物覚えが人一倍早い方だったから、その日の授業の内容は、その日のうちに全部暗記できた。むしろ今思うと、Hさんから離れる為に、私は勉強を人一倍頑張っていたのかもしれない。
Hさん一家は、島内でも結構な有名人だった、悪い意味でだが。学校関係者以外の大人にも、しょっちゅう何かといちゃもんをつけていたから。
だからそれほど、Hさんを意識しなくてもよかったんだけど、彼女が大暴れしているその様は、悪魔にでも取り憑かれたんじゃないかと思える程だった。
ただ、私が新学校へ入学してから1年が経過した頃、突然Hさん一家が島の中からいなくなってた。俗に言う『夜逃げ』だ。
当時、島で流れていた噂によると、Hさん一家はとある悪徳商法にハマり、そのまま莫大な借金を背負って島内に来たけど、足取りに気づかれたから、また逃げ出したとか・・・。
・・・まぁ、その悪徳商法というのも、一体どんなモノであったのかも、大体想像できる。『占い』や『性格診断』にのめり込んで破産してしまう人も、それほど珍しい事でもないから。
また、別の噂によると、Hさんは本気でおかしくなってしまったから、本土の精神病院に入院する事になった・・・とか。
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