DIYで魔法世界を再建!
太古の昔話 『調律の天秤を担いし少女』
昔々。まだ人間達が栄華をを謳歌していた時の事。
人間達の手によって、行き場を失った動物達は、この名もなき林に身を寄せる事になりました。
この林は、元々精霊達の住処だったのですが、住む場所を失った動物達を哀れんで、この土地に移り住む事を許可したのです。
動物達は大層喜びました。
「これでようやく、安心して生活ができる」
「もう人間達から追われる心配はないのね」と。

しかし、そこでも動物達による争いが勃発したのです。魔力を独り占めするもの、分け合う魔力すら乏しいもの、魔力を欲して精霊に争いを突っかかるもの・・・。
精霊側も動物側も困り果ててしまいました。動物達に住処を与えてあげたいけれど、動物達は互いに意志を持っており、どうしても自分達を優先してしまうのです。
「動物なんて引き入れなければよかったのに」と、文句を垂れる精霊まで現れ始めた頃・・・。

神様がそんな歪な関係を見兼ねて、『一人の人間』を林に住まわせた。
その女の子の名は『ウィバリー』
彼女は、動物や植物にも慈悲深い、とても穏やか子であった。しかし、周りの人間からは、『変わった子』と見做され、馬鹿にされる事もしばしば。
しかし、そんな彼女こそ、この林を仕切る役目を担うにふさわしい存在であった。
神様の指示に従い、林に来たウィバリーは、精霊・動物関係なく、常に親切な姿勢を心がけた。困っている時には駆けつけ、喧嘩が起きた時には、怪我をしてでも止めに入る。
そんな彼女の献身的な姿に、精霊達も動物達も、徐々に彼女への信頼を深めていった。それと同時に、林で起こる争い事も減り、魔力を互いに分け合う環境が構築されていた。
ウィバリー自身も、もう誰も自分をいじめたり、馬鹿にしたりする人間がいない事で、伸び伸びとした生活を満喫していた。
彼女のおかげで、魔力が一方に偏る事なく、林全体が魔力に満たされた。そんな素晴らしい土地になっていった。
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