DIYで魔法世界を再建!
「大丈夫だよ、お姉ちゃんと一緒に行こう!」
「・・・うん・・・」
私は男の子を安心させる為に、男の子の背中を摩った。男の子の背中はとても小さく、とても冷たい。どれほどの恐怖と孤独に耐えていたのか、その背中が物語っていた。
男の子の手を掴んだ私は、そのまま船の内部へ向かう。
・・・今考えると、そこが間違いだったのかもしれない。
男の子を助けた事ではない。わざわざ歩いて行かずに、男の子を抱きかかえて、船の内部へ急げば良かったのかもしれない。
そうやって私が、着実に男の子を救おうとしている間に、『死神』という名の『竜巻』が、私達の乗る船へ向かって来ていた。
不意に後ろを振り返った私は、思わず言葉を無くす。そのあまりにも大きすぎる『自然の脅威』に、たった一人の人間がどれほど無力なのかを、自分の身をもって知ってしまったのだ。
そこには、もう『塊』にしか見えない『風の渦』が、轟音と共ににじり寄っている。恐らく船はその風力に負けて、動きたくても動けないんだろう。
船の中からは、私達を必死で呼ぶお婆さん達の声が微かに聞こえる。でもその声ですら、風は全て揉み消してしまう。
昔都心で見た、大きなタワーマンション。それとほぼ同じくらいの高さにまで、竜巻は辺りの風や空気を引き込んで、大きく成長していた。
そんな光景を目の当たりにして、動けないのも無理はなかった。男の子はその場で泣き崩れ、自分の体がどんどん足元から浮き上がっているのを感じる。
ただ、その時には既に遅かったのだ。気づけば私の足は、船の甲板から離れていた。でも私はこの時、直感で男の子の手を離した。
視界から離れていく男の子は、船が大きく揺れた拍子に、甲板に設置された看板に掴まる。しかし男の子は、私に向かって手を伸ばしていた。「お姉ちゃん!!!」と言いながら。
でも私の体は、もう自分自身では制御が効かない。何故ならもう私の体は、強風によって縛り付けられてしまったから。
そしてそのまま、私の体は船から数メートルは飛ばされ、鼓膜が破れるくらいの水飛沫と共に、海の中へと落ちていく。
どんなにもがいても、空が遠くなるだけ。息を吸いたくても吸えない。もう私に残されていた選択肢は、一つしかなかった。
周りの海水は冷たい筈なのに、目の周りだけすごく熱い。涙を流したくても、海水の塩分で目も開けられない。
一体自分が、今どのくらいの深さにいるのか、陸からどれくらい離れているのかも分からない。ただ、男の子を救えただけでも、私の命に価値はあったと思う。あのままベンチに座り込んでいたら、確実に私と同じ道を辿っていた。
ただ、私にも家族がいた、友達がいた。皆に何の別れも告げずに去らなくちゃいけないのは、やっぱり痛いくらい悲しい。
いつも通りの穏やかな私の人生が、突然プッツリと途絶えてしまうなんて。天国にいるお母さんに怒られるか、それとも・・・
「・・・うん・・・」
私は男の子を安心させる為に、男の子の背中を摩った。男の子の背中はとても小さく、とても冷たい。どれほどの恐怖と孤独に耐えていたのか、その背中が物語っていた。
男の子の手を掴んだ私は、そのまま船の内部へ向かう。
・・・今考えると、そこが間違いだったのかもしれない。
男の子を助けた事ではない。わざわざ歩いて行かずに、男の子を抱きかかえて、船の内部へ急げば良かったのかもしれない。
そうやって私が、着実に男の子を救おうとしている間に、『死神』という名の『竜巻』が、私達の乗る船へ向かって来ていた。
不意に後ろを振り返った私は、思わず言葉を無くす。そのあまりにも大きすぎる『自然の脅威』に、たった一人の人間がどれほど無力なのかを、自分の身をもって知ってしまったのだ。
そこには、もう『塊』にしか見えない『風の渦』が、轟音と共ににじり寄っている。恐らく船はその風力に負けて、動きたくても動けないんだろう。
船の中からは、私達を必死で呼ぶお婆さん達の声が微かに聞こえる。でもその声ですら、風は全て揉み消してしまう。
昔都心で見た、大きなタワーマンション。それとほぼ同じくらいの高さにまで、竜巻は辺りの風や空気を引き込んで、大きく成長していた。
そんな光景を目の当たりにして、動けないのも無理はなかった。男の子はその場で泣き崩れ、自分の体がどんどん足元から浮き上がっているのを感じる。
ただ、その時には既に遅かったのだ。気づけば私の足は、船の甲板から離れていた。でも私はこの時、直感で男の子の手を離した。
視界から離れていく男の子は、船が大きく揺れた拍子に、甲板に設置された看板に掴まる。しかし男の子は、私に向かって手を伸ばしていた。「お姉ちゃん!!!」と言いながら。
でも私の体は、もう自分自身では制御が効かない。何故ならもう私の体は、強風によって縛り付けられてしまったから。
そしてそのまま、私の体は船から数メートルは飛ばされ、鼓膜が破れるくらいの水飛沫と共に、海の中へと落ちていく。
どんなにもがいても、空が遠くなるだけ。息を吸いたくても吸えない。もう私に残されていた選択肢は、一つしかなかった。
周りの海水は冷たい筈なのに、目の周りだけすごく熱い。涙を流したくても、海水の塩分で目も開けられない。
一体自分が、今どのくらいの深さにいるのか、陸からどれくらい離れているのかも分からない。ただ、男の子を救えただけでも、私の命に価値はあったと思う。あのままベンチに座り込んでいたら、確実に私と同じ道を辿っていた。
ただ、私にも家族がいた、友達がいた。皆に何の別れも告げずに去らなくちゃいけないのは、やっぱり痛いくらい悲しい。
いつも通りの穏やかな私の人生が、突然プッツリと途絶えてしまうなんて。天国にいるお母さんに怒られるか、それとも・・・