あの日のあの雨が君をさらっていってしまった。
気になるあの子
「琉和〜!!」
遠くから走ってくる男の子の姿が見えた。
近づくにつれその容姿がはっきりしてくる。
日本人形のようなツヤのある黒髪に
日焼けなど知らないような透明な肌
目はぱっちりしており
よくテレビで見るアイドルのように整っている。
「琉和!!知っとる!?来週雨たくさん降るんやって!珍しくない!?」
落ち着いているような声の高さなのに
喋り方は落ち着きがなく少し口元が緩む。
「うん。知ってる。土砂崩れしないか心配やね!」
私がそう答えると少し不満そうな顔をした。
「なーんや…知っとったんか…ちぇー」
いじけているのが可愛く笑ってしまった。
「ふはッw」
「ちょ、なんで笑うんー!?」
「さぁ?」
「…琉和…ちょっといい……?」
足を進めていると後ろから先程の落ち着きのない喋り方とは
打って変わって今まで聞いたことがないような喋り方が聞こえた
びっくりして振り返った
そこにはさっきまでの可愛い感じはなかった
寂しそうな…悲しそうな…なんとも言えない表情をしていた。
「ど、どうしたん?」
恐る恐る聞いてみる。
無言は続く。その時間が長く感じる。
「…なーんてねッ!なんでもないよ〜?」
さっきの落ち着きのない喋り方になっていた。
さっきのは一体なんだったんだろう?