年の差政略結婚~お見合い夫婦は滾る愛を感じ合いたい~
「ごめんなさい。これから気をつけます……」
すっかり落ち込んでしまった私はしょんぼりと俯いてしまう。
すると、幸景さんは肩を抱きなおし、「行こう」と言って動くことを促した。慌てて歩き出そうと顔を上げた私に、彼が素早くキスをする。
驚いて目をまん丸く見開いていると、幸景さんはジッと私を見つめもう一度唇に軽くキスを落とし、「困った子だね」と本当に困ったように眉尻を下げた。
「帰ったらお説教だよ。どうして僕が怒ってるのか、じっくりわからせる必要がある」
そう言った彼の声には、もう不機嫌さはない。いつもの柔らかさが感じられる。
お説教はちょっと怖いけれど、幸景さんの機嫌が治ったことには心底ホッとした。
「僕も悪かったよ。こんな人通りの多い場所できみから目を離すんじゃなかった。もうしない」
駐車場に向かって歩きながら、幸景さんはそんな自省を口にした。
非のない彼に謝罪させてしまったことに、ますます申し訳なさが募る。
「幸景さんは何も悪くないです。私が悪いの。幸景さんに心配ばかりかける妻でごめ――」
謝ろうとした唇に、再びキスが落とされた。
今度は地下駐車場に向かう通りで人目がないからか、すぐに離れるバードキスじゃない。私の言いかけた謝罪を呑み込んでしまうかのように、しっかりと唇を重ねてくる。
「ん……ぅ、ふ……っ」
深く交わり、舌を口腔に入れられ、熱い息が漏れる。
いくら人目がないからといっても、外でこれは恥ずかしい。いつ人が通るかもわからないし、駐車場の近くだから監視カメラだってあるかもしれないのに。
軽く彼の胸を押しやると、両手で顔を包まれてますます激しく口づけられてしまった。
幸景さんは貪るように私の舌や口腔を舐ると、ようやく唇を解放した。
息が苦しいのと口の中をたっぷり愛撫されて、私の頬が真っ赤に染まる。心臓がドキドキして、体が熱くてたまらない。
「どうして……こんなところでキスするんですか……? 誰かに見られちゃうかもしれないのに……」
乱れた吐息と一緒に尋ねれば、幸景さんは再び肩を抱いて歩き出し、私のつむじやこめかみに口づけしながら言った。
「そうだね、見られるかもしれない。けど僕はそれでもいいと思ってる。人目を気にするよりも、きみにキスがしたかった」
彼らしくない衝動的な発言に驚いた。
目をしばたたかせてチラリと隣を見やると、幸景さんは眉根を寄せ複雑そうな笑みを浮かべていた。
「どうやら紫野幸景という男は、きみや僕が考えているほど理性的じゃないみたいだ。今まで生きてきて、こんなに感情が乱れたのは初めてだよ」
それってやっぱり怒ってるということだろうか。
どうやって彼の気持ちを治めればいいものか考えあぐねているうちに地下駐車場に着き、私たちはリムジンへ乗り込んだ。
動き出した車内で、向かい側に座った幸景さんは射るような眼差しで私を見つめて言った。
「今夜はきみに、みっともない姿を見せてしまうかもしれないね」
薄暗い車内の明かりの下で、彼の口角が意地悪そうに持ち上がったような気がした。
すっかり落ち込んでしまった私はしょんぼりと俯いてしまう。
すると、幸景さんは肩を抱きなおし、「行こう」と言って動くことを促した。慌てて歩き出そうと顔を上げた私に、彼が素早くキスをする。
驚いて目をまん丸く見開いていると、幸景さんはジッと私を見つめもう一度唇に軽くキスを落とし、「困った子だね」と本当に困ったように眉尻を下げた。
「帰ったらお説教だよ。どうして僕が怒ってるのか、じっくりわからせる必要がある」
そう言った彼の声には、もう不機嫌さはない。いつもの柔らかさが感じられる。
お説教はちょっと怖いけれど、幸景さんの機嫌が治ったことには心底ホッとした。
「僕も悪かったよ。こんな人通りの多い場所できみから目を離すんじゃなかった。もうしない」
駐車場に向かって歩きながら、幸景さんはそんな自省を口にした。
非のない彼に謝罪させてしまったことに、ますます申し訳なさが募る。
「幸景さんは何も悪くないです。私が悪いの。幸景さんに心配ばかりかける妻でごめ――」
謝ろうとした唇に、再びキスが落とされた。
今度は地下駐車場に向かう通りで人目がないからか、すぐに離れるバードキスじゃない。私の言いかけた謝罪を呑み込んでしまうかのように、しっかりと唇を重ねてくる。
「ん……ぅ、ふ……っ」
深く交わり、舌を口腔に入れられ、熱い息が漏れる。
いくら人目がないからといっても、外でこれは恥ずかしい。いつ人が通るかもわからないし、駐車場の近くだから監視カメラだってあるかもしれないのに。
軽く彼の胸を押しやると、両手で顔を包まれてますます激しく口づけられてしまった。
幸景さんは貪るように私の舌や口腔を舐ると、ようやく唇を解放した。
息が苦しいのと口の中をたっぷり愛撫されて、私の頬が真っ赤に染まる。心臓がドキドキして、体が熱くてたまらない。
「どうして……こんなところでキスするんですか……? 誰かに見られちゃうかもしれないのに……」
乱れた吐息と一緒に尋ねれば、幸景さんは再び肩を抱いて歩き出し、私のつむじやこめかみに口づけしながら言った。
「そうだね、見られるかもしれない。けど僕はそれでもいいと思ってる。人目を気にするよりも、きみにキスがしたかった」
彼らしくない衝動的な発言に驚いた。
目をしばたたかせてチラリと隣を見やると、幸景さんは眉根を寄せ複雑そうな笑みを浮かべていた。
「どうやら紫野幸景という男は、きみや僕が考えているほど理性的じゃないみたいだ。今まで生きてきて、こんなに感情が乱れたのは初めてだよ」
それってやっぱり怒ってるということだろうか。
どうやって彼の気持ちを治めればいいものか考えあぐねているうちに地下駐車場に着き、私たちはリムジンへ乗り込んだ。
動き出した車内で、向かい側に座った幸景さんは射るような眼差しで私を見つめて言った。
「今夜はきみに、みっともない姿を見せてしまうかもしれないね」
薄暗い車内の明かりの下で、彼の口角が意地悪そうに持ち上がったような気がした。