年の差政略結婚~お見合い夫婦は滾る愛を感じ合いたい~
「――ん……」
その日の深夜。
私は喉の渇きで目を覚ました。自分でもびっくりするくらい、喉がカラカラだ。
その理由がすぐに思いあたって、寝ぼけていた頭が瞬時に覚めて羞恥に熱くなった。
コンサートから帰ってきたあと、幸景さんは玄関に入るなり私を求めてきた。
そんな荒々しく衝動的に求められるのは初めてで、驚いて抗ったものの、すぐさま彼の愛撫に溶かされてしまった。
……思い出しても恥ずかしい。玄関で服を中途半端に脱がされ、あんなことをされるなんて。
それから幸景さんは私をお姫様抱っこで浴室まで運び、そこでも執拗に求め、さらに寝室に行ってからも私を解放しなかった。
結婚してから三ヶ月。彼が私を抱くときは寝室の広いベッドで、いつだって優しくて……少し意地悪なときもあるけれど、丁寧で大切に抱いてくれた。
だから、今日のように欲が抑えきれない獣みたいに求められるのは初めてで。
成す術もなく彼に身を委ねるしかなかった私は幸景さんが満足する前に体力が尽き、ほぼ気を失うように眠りに落ちてしまったみたいだ。
筋肉痛のようにあちこちが痛む体を起こせば、自分が全裸でベッドに寝ていたことがわかった。
服は着ていないけれど、体は綺麗になっている。幸景さんが拭いてくれたのだろうか。
けれど、寝室に彼の姿はない。時計を見れば午前二時を回ったところだった。
「幸景さん……、どこに行ったんだろう」
ベッドから降りて、サイドテーブルに置かれていたナイトガウンを羽織った。お風呂場からバスタオルを巻いただけで寝室まで運ばれてしまったから、下着がない。
下着とパジャマを着て、水を飲んでこようと思い、寝室を出た。