年の差政略結婚~お見合い夫婦は滾る愛を感じ合いたい~
幸景さんは私を色々な場所へ連れていってくれた。初めてのオペラやクラシックコンサート、クルーズ船で過ごすクリスマス、ヘリコプターで空のお散歩、梅のお花見、幸景さんの所有する馬がいる牧場、それから水族館やハーブ園なんかにも行った。
幸景さんとのデートは未知の体験ばかりで、それに加え男の人とのお付き合いが初めてということもあって、最初の頃は緊張ばかりしていた。
けれど幸景さんは優しく色々なことを教えてくれて、私が新しい体験に思わずはしゃいでしまっても、呆れることなくただ楽しそうに目を細めていた。
お見合いから結婚までの数ヶ月は、お互いをよく知るための期間――というより、幸景さんがひたすら私を甘やかす期間だったように思う。
彼はいつもニコニコしていて、私の要求を優先させてくれた。たまには幸景さんの生きたい場所や食べたいものを優先してほしいと言ったこともあるけれど、「ならお言葉に甘えて」と言いつつ彼が選んだのは、結局私が好みそうな場所や食事だった。
短い期間の交際だし、彼についてわからないことはまだまだある。けれどこの数ヶ月でこれだけは確かだと確信したのは、幸景さんはどうやら私を甘やかすのが大好きだということだ。それもかなり。
異性との交際経験がない私は、幸景さんの甘やかしが普通なのか異常なのかはわからない。けれど友達に軽く相談してみたところ、「尋常じゃない」と言われたので、やはり彼の愛情表現はちょっと変わっているみたいだ。
ただ幸景さんは今どき驚くぐらい誠実で紳士的な人なので、デートの小旅行で一泊することがあってもベッドを共にしないどころか、キスさえ婚約時代にはしなかった。
私が初めて彼と唇を重ねたのは結婚式の誓いのキスで、彼の手で少女の殻を脱ぎ去ったのが初夜だったことは、ふたりだけの秘密。
そんなこんなで大学を卒業した私はその翌週、オーストラリアのチャペルで幸景さんとふたりきりの挙式をし一週間の新婚旅行を楽しんだ後、帰国して両家と会社関係者を招いた盛大な披露宴を開いた。
こうして名実ともに私が幸景さんの妻、紫野璃音になり、新居のマンションでふたり暮らしを始めること一週間。
普通は一緒に暮らすようになるとお互いの悪いところなども見えてくるものだと思うのだけど、幸景さんに至っては甘やかしが加速する一方だ。
そして今日も。
彼は毎朝私の目覚ましアラームを勝手に止めて朝食の支度をしてしまう。どんなに私が『それは妻の仕事だから』と訴えても。
幸景さんとのデートは未知の体験ばかりで、それに加え男の人とのお付き合いが初めてということもあって、最初の頃は緊張ばかりしていた。
けれど幸景さんは優しく色々なことを教えてくれて、私が新しい体験に思わずはしゃいでしまっても、呆れることなくただ楽しそうに目を細めていた。
お見合いから結婚までの数ヶ月は、お互いをよく知るための期間――というより、幸景さんがひたすら私を甘やかす期間だったように思う。
彼はいつもニコニコしていて、私の要求を優先させてくれた。たまには幸景さんの生きたい場所や食べたいものを優先してほしいと言ったこともあるけれど、「ならお言葉に甘えて」と言いつつ彼が選んだのは、結局私が好みそうな場所や食事だった。
短い期間の交際だし、彼についてわからないことはまだまだある。けれどこの数ヶ月でこれだけは確かだと確信したのは、幸景さんはどうやら私を甘やかすのが大好きだということだ。それもかなり。
異性との交際経験がない私は、幸景さんの甘やかしが普通なのか異常なのかはわからない。けれど友達に軽く相談してみたところ、「尋常じゃない」と言われたので、やはり彼の愛情表現はちょっと変わっているみたいだ。
ただ幸景さんは今どき驚くぐらい誠実で紳士的な人なので、デートの小旅行で一泊することがあってもベッドを共にしないどころか、キスさえ婚約時代にはしなかった。
私が初めて彼と唇を重ねたのは結婚式の誓いのキスで、彼の手で少女の殻を脱ぎ去ったのが初夜だったことは、ふたりだけの秘密。
そんなこんなで大学を卒業した私はその翌週、オーストラリアのチャペルで幸景さんとふたりきりの挙式をし一週間の新婚旅行を楽しんだ後、帰国して両家と会社関係者を招いた盛大な披露宴を開いた。
こうして名実ともに私が幸景さんの妻、紫野璃音になり、新居のマンションでふたり暮らしを始めること一週間。
普通は一緒に暮らすようになるとお互いの悪いところなども見えてくるものだと思うのだけど、幸景さんに至っては甘やかしが加速する一方だ。
そして今日も。
彼は毎朝私の目覚ましアラームを勝手に止めて朝食の支度をしてしまう。どんなに私が『それは妻の仕事だから』と訴えても。