偉大なる使用人
布団を掛けてくれて、ナイトテーブルの灯りだけに包まれた。
「さぁ、今日はお疲れになったでしょう。ゆっくり休んで下さい。」
「奏多も一緒に、」
「寝るはずが無いでしょう。」
げ…
もういつもの奏多に戻ってる。
「大丈夫です。寝るまでは居ますから。貴女は1度寝たら朝まで起きませんからね。」
「まるで一晩見張っていた事があるようね。」
「昔はそうでした。きっと今もそうでしょう?」
「昔は昔。今は今よ。」
そう言うと、
ふはっと吹き出された。
…本当は今でも朝まで目覚めないけど。
悔しいから仕返しだ。
「その調子で少しずつ、大人になりましょう。音様。」
「私はもう大人よ。」
「私が見ている限り、まだまだ子供です。さぁ、目を瞑って。」
今日はもう、これ以上会話は進まない。
私だって奏多の事はわかるんだから。
仕方なく目を瞑った。
トントン、とリズムをとられ
子供じゃないんだけどなぁ。と思ったけど
だんだんと睡魔が襲ってくる。
安心する。
本当に安心する。
奏多の匂いが近くにあって…
程よい気温と心地よいリズム。
明日になったら絶対にパパに抗議してやるんだから……
カチ、とナイトテーブルの灯りが消されたのを感じる。
待って…
もうちょっと…だけ、
奏多が頭を撫でた感触を最後に、私は意識を手放した。