とらとうま

「おかーさんおかーさん、靴下!あとパンツ!」

「あんたねぇ、宿泊学習当たったんならちゃんと言いなさいよ!いっつもギリギリなんだから!ばかっ!」

なんかナーバスになってたから旅だつ準備するの忘れてた。あいたたた。

馬矢とキスしてからなんか宇宙とかどうとでもなるかな、なんて、だってよく考えたらめちゃくちゃ恥ずかしいじゃん。すげーよ約3時間前の私。

これはもうむしろ

「私もう帰ってこない」
ていうか帰れても帰りたくない…

「はいはい、これね~パンツ一式」

「わぁ…ねぇちゃん、高校生にもなってミカチュウのプリントパンツって…」

「ちょっと群青見んなよ!いいじゃん!可愛いじゃんミカチュウ!」

「あいちゃん、お父さん、お土産は何でもいいから~出来るだけ食べものがいいけど~ん~辛すぎず甘すぎず酸っぱすぎず苦すぎず、みたいな?」

「女子高生みたいな喋り方やめてよ気持ち悪いなぁもー。わかったから、なんか名物みたいなの買ってくるから」

「あんたは口じゃなくて手を動かしなさい!」

「うるさいなぁわかってるよ」

私が宇宙に行くことは言わずもがなこの人たちにも秘密で、でもどうせすぐばれるんだろうけどばれたら軍の人がちゃんと説明してくれるらしいし。

家族だし自分でちゃんと説明するか選べたんだけどなんだか実感がわかなくて駄目だった。帰ってきたらちゃんと怒られるからさ、うわ、ますます帰りたくなくなってきた。



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