さよならは響かない




そんな誘い文句につられて、わたしはその背中についていった。


優しくて、まっすぐで、わたしにはもったいないくらいのいい人だった。

初めて一緒に行ったファミレスで、場を和ますような自己紹介をしてくれたことは今でも忘れていないし、思い出しても元気が出るくらいには面白かった。



みい、ってわたしを可愛く呼ぶ常盤先輩。
出会ってから何も変わらずに、何も聞かずに、わたしだけを選んでくれる人。




適当に誰でもいいから隣に誰かいてほしかった。

でもそれは一人に絞ったらだめで。
わたしはシキみたいに適当に遊べるほど賢くもなくて。

ご飯ならいいよ、の付き合いで一番長く続いているのは、やっぱり常盤先輩だけだった。





「──今日は、あの先輩なの」

購買で無事にサンドイッチをゲットした梨可は、一歩先を歩く階段でわたしにそう言った。



「うん、そうだよ」

「一昨日遊びにいってた理系クラスの人は?」

「あー、ご飯だけじゃすまなそうだから多分もう会わないと思う」

「あの先輩は、本当にご飯だけで済んでるの?」

「いつもファミレスだよ」

「…そう、」



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