さよならは響かない



────…・



シキと付き合って3か月くらいが経つ頃、シキのことが好きだった女の子たちが嫌がらせをしてくるようになった。

シキは昔から顔が整っていて、人当たりもよくて女の子たちにも、たぶん思わせぶりと思わせるような行動を無意識にたくさんしていたんだと思う。


シキはたくさんの告白を受けるようになっていた。
それなのに、シキはわたしを選んだ。


蜂屋司輝が、幼馴染であるわたしと付き合い始めた。

ふたりそろって絶対に恋にはならないと言っていたくせに、嘘つきだと女の子たちはわたしに分かるように悪口を言うようになった。




嘘つき、色目使ったんだ、ただの幼馴染のくせに。



わたしたちはただの恋人じゃないし、わたしはシキのことが好きじゃない。
シキが好きなのはわたしでもあなた達でもない、わたしのお姉ちゃんだよ。

でもそんなこと言えるわけなかった。




『これ以上わたしの悪口を言うも、嫌がらせするのやめてほしい』



精いっぱいの勇気をもって、3人組の女の子に向かってそう言った。


よく覚えている。
屋上につながる階段の踊り場だった。



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