さよならは響かない





わたしの言い方が悪かったのか、相手がやっぱり私のことを好きになれなかったのか、

たぶんどちらも正解なんだと思う。




『ほんとに、うざいんだけど!』



強く突き飛ばされて、ドラマのワンシーンのように、わたしは階段から足を踏み外して下まで転がり落ちた。
一瞬の出来事の中で、わたしは頭から階段の下に落っこちた。

焦った女の子たちはわたしを放置したまんま、逃げるようにそこから逃げていく。




『自業自得だからっ!』

『あんたが、こんなとこで話しようっていうから!』

『ぜんぶ、あんたが悪いのよ!』


通り過ぎるときに落とされた言葉を、今もずっと覚えている。

シキの前ではかわいい声を出してアプローチしていたくせに、ひどいくらい低い声でわたしにざまあみろと言った。



痛いのは身体だけじゃなかった。

どうしてこんな目に合わなくちゃいけないんだろう、でもこのことを、シキには絶対にばれたくないと思った。

シキは今も私を教室で待っている。
早くシキのところに戻らないと、シキを待たせてしまう。


それでも、視界はグラグラと歪んで、気づけば真っ暗になっていた。


< 32 / 84 >

この作品をシェア

pagetop