さよならは響かない
わたしの言い方が悪かったのか、相手がやっぱり私のことを好きになれなかったのか、
たぶんどちらも正解なんだと思う。
『ほんとに、うざいんだけど!』
強く突き飛ばされて、ドラマのワンシーンのように、わたしは階段から足を踏み外して下まで転がり落ちた。
一瞬の出来事の中で、わたしは頭から階段の下に落っこちた。
焦った女の子たちはわたしを放置したまんま、逃げるようにそこから逃げていく。
『自業自得だからっ!』
『あんたが、こんなとこで話しようっていうから!』
『ぜんぶ、あんたが悪いのよ!』
通り過ぎるときに落とされた言葉を、今もずっと覚えている。
シキの前ではかわいい声を出してアプローチしていたくせに、ひどいくらい低い声でわたしにざまあみろと言った。
痛いのは身体だけじゃなかった。
どうしてこんな目に合わなくちゃいけないんだろう、でもこのことを、シキには絶対にばれたくないと思った。
シキは今も私を教室で待っている。
早くシキのところに戻らないと、シキを待たせてしまう。
それでも、視界はグラグラと歪んで、気づけば真っ暗になっていた。