さよならは響かない





うずくまって動けないまんまのわたしを一番に見つけたのは、わたしと帰る約束をしていたシキではなく、担任の先生だった。



先生はたまたま階段の下にいて、
わたしが落ちた音と、バタバタと駆け降りる女子三人組の足音を不思議に思って階段を駆け上ってきてくれたらしい。



あっという間に放課後の騒ぎになって、それを聞きつけた教室で待っていたシキはひどく焦っていたという。

頭を打ったせいで軽い脳震盪、大げさに救急車で運ばれて、身体にはあざができて、けれど骨が折れたりすることはなかった。


3日間学校を休んだ。
先生からかかってきた電話で、わたしは頼むから揉めていた話を公にしないでほしいといった。


『わたしの、せいだから』


全部、わたしが悪かった。
みんなから好かれるシキを、独り占めしてしまっているのはわたしだった。


シキが選んだのはわたしだけど、それはわたしが「ただの幼馴染」だったからだから。
そう思ったときに初めて、シキのせいで心が苦しくなった。



先生は、3人組と揉めたということをシキにもほかの人にも黙っていてくれた。

当の3人組は担任の先生に何かを言われたのか、わたしが学校に復活してから、一切嫌がらせをしてこなくなった。


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