さよならは響かない
開いた1ページ目、まだ歩けもしないわたしたちがふたりして布団に寝かされて仲良く眠っている写真だった。
もう一枚、もう一枚とゆっくりそれをめくっていく。
懐かしくて、自分の記憶と照らし合わせながら写真をたどれば、気づけばそれに夢中になっていた。
わたしと一緒にいるシキは。
シキと一緒にいるわたしは。
いつだって楽しそうに笑っていて、
わたしが泣いている写真では、シキだって同じように泣きそうな顔をしていて、
わたしがシキに怒っていれば、シキは同じようにわたしに反抗していて、
少し大きくなった私たちが遊び疲れて雑魚寝している姿は、一ページ目のそのまんまのようだった。
わたしたちは、いつだって、同じように生きていたんだと思う。
幼馴染って残酷だ。
何枚も何枚も、わたしたちがふたりでいた記憶はいつまでも残ってしまう。
こんなにも一緒にいてしまったら、これからもずっと一緒にいられると思ってしまってしょうがないじゃないか。
周りのだれかが気付いていく恋心を、当たり前の存在の人にいまさら向けてしまうのだって、それ以上の人を探せだなんて、無理に決まっている。