さよならは響かない
「ミオ、」
「──っ、」
二年がたって、
ただの幼なじみじゃなくなって。
シキに言えない秘密が増えた。
シキのことが分からなくなった。
ずっと隣にいるのに、何を考えているかも、わたしのことどう思っているのかも、まだお姉ちゃんのことを好きなのかも。
それでもシキはいつまでもお姉ちゃんのことが好きだった。
そんなことは聞かなくてもわかっていた。
それから逃げるように、わたしを縛り付けないために、たくさんの女の子と話すようになった。
それをわたしは、黙って見過ごしていた。
わたしたちは形だけの恋人だった。
疵の庇いあいをするためだけに、お互いを縛り付けるのは嫌だった。
シキが女の子と一緒にいるのを見るだけで苦しくなって、
わたしもシキをまねるようにたくさんの人と遊んだ。
全然好きになれないのだ。
手を繋がれても、キスしても、ときめかないし苦しくもならないし、好きだとも思わなかった。
それでも、やめなかった。
シキが、やめなかったからだ。
じゃあ私たちが恋人である必要ってある?
初めて感じた疑問は、あっという間に自分がいま抱えている恋心を気づかせた。
あの苦しい初恋を、先に終わらせたのは私だったのだ。