さよならは響かない
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あの日が金曜日だったことだけが何よりも救いだった。
あんなにも動けないほど体がだるくなるのは、よっぽどインフルエンザでもかかっていた以来だと思う。
制服がつるされたハンガー、机の上の写真立て、ベッドの下に開きっぱなしのアルバム。
土曜日は、そんな部屋で、ひたすら布団とお友達の一日を過ごした。
夜になるといい加減にご飯を食べろとお姉ちゃんがドアをたたいてきて、しぶしぶ顔を出せばひどい顔を見てひどい顔をされた。
「あのねえ、泣いたときはすぐ冷やさないと腫れるんだから、嫌でも布団から出てこなきゃダメなんだよ?」
「…いいじゃん、休みなんだから」
「その顔じゃあ明日もきっとひどいよ」
でも私はとってもいい方法を知ってます、
有無を言わせず私の部屋に勝手に入り込んできて、布団を剥いだと思えば「夜ごはん、あんたの好きな炊き込みご飯にしてくれたんだから、食べよう」なんて無理だと言えない好条件を突き付けられてしぶしぶ立ち上がった。
お母さんはわたしの顔を見てお姉ちゃんと同じような顔をした後に、風邪ひいたと思って買ってきちゃったと大好きなデパ地下のプリンを出してくれた。