さよならは響かない
普段は全然連絡返してくれないのに、こういうときにめちゃくちゃ心配してくれるのは梨可のいいところだ、とおもう。
梨可にすべてを話さなければいけない。
もう何も隠すことはないのだ。
既読をつけた勢いのまま梨可への通話ボタンを押せば、3秒もしないで出た。
「もしもし、」
『もう、どんだけ心配したと思ってんの!』
「ご、ごめん」
開口一番怒鳴るように怒られて、そのあとすぐに冷静に戻って、どうしたの、と聞いてきた。
「…いろいろ、あった」
『うん、そうだと思ってた』
「……うん、」
『……っていうより、実は、問い詰めた』
「…え、ど、ゆこと?」
ごめんね、
ちっとも申し訳ないと思ってなさそうなごめんねに思わず口をへの字に曲げてしまう。
でも、何も言わなかったわたしが全部悪いから、やっぱりしょうがないのかもしれない。
『蜂屋司輝なら、知ってると思ったから、』
まさか、シキの名前が出てくるとは思わなかったのだ。
言葉を失うとはこういうことかと思った。大前提、梨可はずっとシキのことを嫌っている。
「…話、かけたの?」
『うん、今日は周りに女子いなかったから』
「…いや、そういう問題じゃないよね、」
『別れたんだってね』