さよならは響かない
梨可は前から人にやさしい言葉をかけるのが苦手だと言っていて、
相変わらず、わたしが言葉を求めるまで終始無言を貫いていたし、思っていないような口ぶりで「たいへんだったんだね」とこぼした。
『……ちがう、もっと言わなけいけない言葉があるはずなのに、ごめん、何にも思いつかない』
言葉以上に心配をしているのはよくわかっている。
わたしが3年間抱えていたことを、一気に話したせいで梨可が戸惑っているのが分かった。
女子の嫌がらせ、高校に入っても女子と仲良くなれないわたしの理由にやっと気づいて、もっと早く行って欲しかったよ、と泣きそうな声で言われた。
それから、しょうがないから元気づけに甘いものでも食べに行こうと急遽日曜日に会うことを決め、めちゃくちゃにおいしいショートケーキを食べに行った。
SNS映えよりも私たちはしゃべることと食べることに集中し、あっという間に日曜日は終わる。
澪央のせいで一人だったと文句を言われ、月曜日は絶対に行くことを約束して別れた。
それから、常盤先輩のこともはっきりさせてあげたほうがいいと思うと言われた。
梨可と先輩の接点を探したけれど見つからなくて不思議に思えば、「あんなに可愛そうな人今まで見たことない」と苦言を零していた。