さよならは響かない




常盤先輩にこれ以上甘えるのはいけないと思った。


そう言っても、センパイは優しいから、このままでいいと言ってくれるとおもう。

真剣に先輩と向き合うことを考えたけれど、たぶんそれは、結局先輩のことを傷つけてしまうだけだと思った。


シキとの関係も、終わったことも、全部、
ちゃんと、気持ちを伝えなければいけないと思う。



先輩から心配のメッセージが届いていた。

なんでだと聞けば、一人でいる梨可に遭遇したらしい。
梨可が先輩のことを庇う理由が少しだけわかったような気がした。



先輩とは月曜日に離したいことがあると送れば、朝なら時間が取れると言われたので朝、空き教室で待ち合わせをした。
ずっと眠っていたばかりの生活だったから、朝早く起きれる自信もあるし、先輩に言わなければいけないことも整理がついた。




あっという間に週末の時間は終わって、明日からまたいつもの生活に戻る。


わたしの気持ちに今のところ変化はなかった。
簡単に終わる恋だったら、たぶん始まってもいなかったんだろうと思う。

それでも私たちはもう他人で、
これからはシキがわたしに手を伸ばしてくれることはない。


おんなじ教室にシキがいて、
でも相変わらず、わたしたちの教室の立ち位置は何も変わらないのだ。



恋人だった、それだけを除いて。



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