さよならは響かない
こんなにも想ってくれる人に、多分もう出会えないんだと思う。
でもわたしは、その感情と同じくらいの気持ちを先輩に返すことができない。
「……もう、やめるんです、全部」
シキはもう私の彼氏じゃない。
わたしは自由に恋愛していいし、どこで誰と遊んでいようが、もう勝手なのだ。
でもそれは今までと何にも変わらない。
シキはわたしがどこで何をしても、何にも言ってくれなかった。
たった一人からの言葉を待つように、人の気持ちを利用していた。
終わらせたからこそ、すべてリセットしなければいけないんだと思う。
「諦めがつくまで、わたしはたぶん、シキ以外の人を好きになれないんです、」
それがいつになるかなんてわからない。
一週間後、一か月後、一年後。
佐久にいを吹っ切れたときみたいに、彼以上の人に出会うまで無理かもしれない。
先輩への気持ちがこれから恋になるのかもしれない。
それでも。
「じゃあ、最後に言わせて」
「……っ、」
「みいのことが、ずっと好きだったよ」
これだけは、覚えていてね。
先輩の言葉に、大きく、ゆっくり頷いた。