夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
椿は穏やかな口調でそう言い、ゆすぎ終わった食器を渡してきた。その頬に涙が伝っていたのを私は見逃さなかった。きっと嬉し泣きなのだろう。
食器洗いが終わり、そろそろ風呂に入らなければいけない時間になった。
「東山君、良ければこれ寝間着に使って。父さんのだけど」
ちょうど親が海外出張でいなくてよかったと思いながら椿に灰色の上下スウェットを貸す。
「ありがと、風呂先入る?」
「うんん。私やることあるから先入ってて。どうぞごゆっくり」
そう言いながら自室に戻った。部屋のドアをバタリと閉める。同時に一気に力が抜けて倒れるように座り込んだ。それからため息をつく。
なんだか疲れた。でも久しぶりに家が賑やかになったみたいですごく楽しいし、心が躍る。
こんな日々がずっと続けばいいのにな。
そんなことすら思ってしまう。私、どうしちゃったんだろう。気づけば頭の中には椿ばかりがいて、胸が締め付けられるような感覚がする。
この気持ちを咲結は恋だと言っていたけれど、いまいち納得はできていない。恋なんてしたことがないし、人見知りの私のことだからあり得ない話だと未だに思っている。
ひとまず今の状況を咲結に報告しようと、スマホのメッセージアプリを開く。やはり両親からの連絡はまったくきていない。六月十六日の母の近況メッセージを最後に時がとまっている。忙しいかもしれないからと気を使って、私から連絡をすることは万が一の時以外はなしにしている。そのため生存確認もできない。元気にしてるかな……。不安の言葉ばかりが頭をよぎる。
食器洗いが終わり、そろそろ風呂に入らなければいけない時間になった。
「東山君、良ければこれ寝間着に使って。父さんのだけど」
ちょうど親が海外出張でいなくてよかったと思いながら椿に灰色の上下スウェットを貸す。
「ありがと、風呂先入る?」
「うんん。私やることあるから先入ってて。どうぞごゆっくり」
そう言いながら自室に戻った。部屋のドアをバタリと閉める。同時に一気に力が抜けて倒れるように座り込んだ。それからため息をつく。
なんだか疲れた。でも久しぶりに家が賑やかになったみたいですごく楽しいし、心が躍る。
こんな日々がずっと続けばいいのにな。
そんなことすら思ってしまう。私、どうしちゃったんだろう。気づけば頭の中には椿ばかりがいて、胸が締め付けられるような感覚がする。
この気持ちを咲結は恋だと言っていたけれど、いまいち納得はできていない。恋なんてしたことがないし、人見知りの私のことだからあり得ない話だと未だに思っている。
ひとまず今の状況を咲結に報告しようと、スマホのメッセージアプリを開く。やはり両親からの連絡はまったくきていない。六月十六日の母の近況メッセージを最後に時がとまっている。忙しいかもしれないからと気を使って、私から連絡をすることは万が一の時以外はなしにしている。そのため生存確認もできない。元気にしてるかな……。不安の言葉ばかりが頭をよぎる。