夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
なんだかこの夢の中では幼い椿に着いていかないといけないような。誰に言われたわけでもないが、そうわかった。
だが、車の中はすでに密室状態。脱出するのも到底無理だ。ため息をついて諦めかけようとしていたとき、
『幽霊はね、常に静止している物ならすり抜けることができるのよ。知らなかった?』
ふいに幽霊の仁菜が言っていた言葉が脳裏によぎった。そう。今の私は誰にも見えない。つまり幽霊みたいなものだ。ならば……。
車はUターンして校門の方に向かっていく。
やばい、置いていかれる!
意を決して勢いよく扉にぶつかりに行った。するとぶつかることなく見事に扉をすり抜けることができた。
そっか。この世界での私は幽霊なんだ。
勢いよすぎたせいか、足がよろけてその場に転がる。非現実な光景に口をぽかーんとしている自分がいた。
「おはよー!」
「おはよう」
子供たちの元気な声で我に返る。たった今登校してきた児童達は、ふざけながら楽しそうに緑の葉がおいしげる桜の並木道を歩いている。
辺りを見渡すとすでに幼い椿は校舎の方へ向かっていた。慌ててその後を追いかける。拳をこれほどまでかと強く握りしめながら歩いている幼い椿の姿を見逃すことはなかった。
だが、車の中はすでに密室状態。脱出するのも到底無理だ。ため息をついて諦めかけようとしていたとき、
『幽霊はね、常に静止している物ならすり抜けることができるのよ。知らなかった?』
ふいに幽霊の仁菜が言っていた言葉が脳裏によぎった。そう。今の私は誰にも見えない。つまり幽霊みたいなものだ。ならば……。
車はUターンして校門の方に向かっていく。
やばい、置いていかれる!
意を決して勢いよく扉にぶつかりに行った。するとぶつかることなく見事に扉をすり抜けることができた。
そっか。この世界での私は幽霊なんだ。
勢いよすぎたせいか、足がよろけてその場に転がる。非現実な光景に口をぽかーんとしている自分がいた。
「おはよー!」
「おはよう」
子供たちの元気な声で我に返る。たった今登校してきた児童達は、ふざけながら楽しそうに緑の葉がおいしげる桜の並木道を歩いている。
辺りを見渡すとすでに幼い椿は校舎の方へ向かっていた。慌ててその後を追いかける。拳をこれほどまでかと強く握りしめながら歩いている幼い椿の姿を見逃すことはなかった。