夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
「どこに?」

続くように体を起こして椿は言った。

「紡神社」

そう言いながらベッドから出てカーテンを開ける。強く眩しい日差しが窓越しにきらりと差し込んでいた。それはまるでステージによくあるスポットライトに照らされているよう。あまりの眩しさに目を凝らした。

遠くからは夏の訪れを知らせるようにセミの合唱が聞こえてくる。きっとあと数日もしないうちに、その鳴き声は大きく聞こえてきて、夏まさっかりになるのだろう。

「俺もついていっていいか?」

椿がなぜか、怪訝な顔をしながら言う。五日も寝てた上にすぐに一人にさせてしまうなんて申し訳ない。それにお祖父さんの遺書を読んで、決意したことが一つある。

罪の償いのために亡くなったお祖父さんの代わりに私が椿のそばにいてあげることだ。拒まれたって構わない。それが私が椿とお祖父さんのためにできる一番のことだと思うから。

でも今だけは……。

「ごめんね。一緒には行けれないの。一人できてって言われたから」

椿の顔を見るのがなんだか怖くて、俯き加減にぼそぼそと言う。それだけの理由では引き下がってくれないような気がして最後に、警察に見つかるかもしれないしね、と付け加えた。

「そっか。気をつけてな」
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