夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
「次に、椿様は咲結と同じく、自殺する運命でした」

理由は言われなくともわかる。母からの虐待とお祖父さんの自殺からだ。

それを聞いた椿はわかっていたように大きく頷く。

ついさっきも容赦なく、実の父にげんこつを食らわせてたから、相当の辛い現実だったはずだ。

そして……。

「最後に、同じ日に自殺を図った仁菜様と胡桃様ですが……」

私が一番気にしていた運命だ。とてつもなく嫌な予感を感じて、額には冷や汗までかきそう。

唾をごくりと飲む。それから一言たりとも聞き逃さないように、耳を澄ました。

「未練解消もできず、ふたりとも地縛霊となり、様々な人を不幸に追いやってしまう、そんな運命でした」

沈んだような目をして、紡さんは言った。

確かにそうなるんじゃないか、という予想はしていた。けれどいざ本当だと知ると、足がすくみ、言葉を失った。

やがて胸の奥から込み上げてきた何か。それは大きな安心感。本当に咲結や仁菜、椿、そして自分自身を、不幸な運命から救うことができて、よかったと心の底から思った。

「私は四人がたどり着く運命を知り、あまりにもひどい、どうにか変えたいと長年頭を抱えていました。と言っても十年ちょっとですが。そんな時に仁菜様から頼まれて、私のためにも全力を尽くしたのです」

そういってこの結末に満足感を覚えているような笑みを浮かべた。

運命は変えられた。
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