夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
紡さん含め、それぞれが勇気ある行動起こしたことで。

『努力は必ず報われる』

名言みたいなお祖父さんの口癖が今、本当だと私の中で証明されたような気がした。

「紡さん、この度は私達のために動いてくれてありがとうございました。このご恩は一生忘れません」

私が頭を下げるのを見て、椿も咲結も頭を律儀に下げる。

「そう言われましても副作用で忘れてしまいますが、どういたしまして」

どこか切なげに笑って紡さんは言った。

記憶が消されてしまう……。

思い出したくても、思い出せないようにされてしまう。

この特別な17日間のすべての思い出が。

悲しい。虚しい。寂しい。

忘れたくなんか、ない。

そんな気持ちが胸の奥からせりあがってくる。

でも仕方のないこと。

込み上げる涙を堪えるように唇を噛み、無理矢理の笑顔を作った。

「私ね、胡桃が目覚めたら絶対にもう一度仲直りしにいくから……だから待っててね」

咲結が私の両手を包みながら言う。私はそれに待ってるよ、と大きく頷いた。

「あの……紡さんだっけ?ひとつ、いいですか?」

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