夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
椿が手を挙げて言う。私と紡さんはなんだろうと様子を伺った。

「胡桃が次に目覚めたとき、胡桃はどこにいるんですか?」

どこか心配そうに彼は言った。

そういえば、公園の大木から落ちて死んだんだっけ。

なら元の体は起きたとき、どこにいるのだろう?

大木の下?

それとも……。

「どこでしょうか?それは私にもわかりません。こればかりは運命に任せるしかないですから」

困ったような笑みを浮かべて、紡さんは言った。

どう言葉を返せばよいのか、わからなくなった私は顔を俯かせる。その頭をポンポン温かい手がたたいた。まるで安心しろと励まされているよう。

「たとえどこにいたって、俺は胡桃を迎えにいく。だからそんとき、椿って呼んでくれないか」

そう言って小指を差し出してくる。

「わかった。じゃあ」

____私達の、すべての始まりの場所____。

「紡神社で。約束ね」

小指を握り合わせると椿は「ああ、約束」と笑ってくれた。

その途端、私の体が目映いほどの白い光を放ち、透明になってゆく。
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