夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
あれから母さんは長年務めていた看護師を辞め、近所のスーパーのパートをするようになった。その一方で父さんはというと、漁師は辞めないものの、漁に行く回数を減らしその分、家族との時間を作ってくれた。
そんなこんなで今は家族三人、仲良く暮らしている。以前のような寂しさなんてちっともなく、日々幸せだ。
「……でも」
忘れてしまっているような気がする。何か、大切な約束みたいなものを。
その内容すらも思い出せないまま、紡神社まで来てしまった。とはいえこの場所と一体、何の関係があるのだろうか。
相変わらず大きな鳥居には似合わないくらい小さな寺がひとつあり、あとはもぬけの殻。石畳の地面が広がっているだけでなんにもない。
ふと手を合わせて参拝をする。しばらくして目を開けると隣には人の気配を感じた。
その方を見れば青いパーカーに、ジーンズを合わせている青年が立っていた。瞳は長い前髪に隠れていて、その栗色の髪はツーブロックに整えられている。
彼は長い前髪を掻き分けてまで、私の姿を確認し、その栗色の目を大きく見開いた。
瞬間、頭にはズキリと鋭い痛みが走る。
この顔、どこかで見たことがあるような……。
そんな、懐かしい感覚がする。
たしか、名前は……。
「……つばき」
そんなこんなで今は家族三人、仲良く暮らしている。以前のような寂しさなんてちっともなく、日々幸せだ。
「……でも」
忘れてしまっているような気がする。何か、大切な約束みたいなものを。
その内容すらも思い出せないまま、紡神社まで来てしまった。とはいえこの場所と一体、何の関係があるのだろうか。
相変わらず大きな鳥居には似合わないくらい小さな寺がひとつあり、あとはもぬけの殻。石畳の地面が広がっているだけでなんにもない。
ふと手を合わせて参拝をする。しばらくして目を開けると隣には人の気配を感じた。
その方を見れば青いパーカーに、ジーンズを合わせている青年が立っていた。瞳は長い前髪に隠れていて、その栗色の髪はツーブロックに整えられている。
彼は長い前髪を掻き分けてまで、私の姿を確認し、その栗色の目を大きく見開いた。
瞬間、頭にはズキリと鋭い痛みが走る。
この顔、どこかで見たことがあるような……。
そんな、懐かしい感覚がする。
たしか、名前は……。
「……つばき」