夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
そこには大きな桜の木が一本、そびえたっている。私と仁菜のお気に入りの場所だ。毎日のようにこの木の下に腰かけてお弁当を食べていた。
雨はすっかり止んでいて、眩しい日差しが雲の隙間から差し込んでいた。
いつも通り木の下に腰かけて菓子パンの袋をがさがさと開けてパンを頬張る。やはり味はしない。本当に何を食べているのかわからなくなるほどだ。
仁菜を失った悲しみは大きい。それと同じくらい料理の味は感じられなくなってしまった。
私はいつまでこんなご飯を口にしなきゃいけないのだろうか。
そうため息をつきながら思った時だった。
「胡桃」
懐かしい声が私を呼んだ。まさかと思いながら声がした方に顔を向けると、そこには黒く透き通った髪のポニーテールに少し曲がった鼻筋。そして小顔で少女漫画に出てきそうなぐらいに可愛い見た目をした少女が満面の笑みを浮かべながら仁王立ちしていた。
「仁菜?」
怪しく思って問いかける。死んだ人にもう一度会えるなんて普通はあり得ない話だから。
彼女はこくりと頷いて私のそばに寄ってくる。私は嬉しさのあまり仁菜に飛びつく。
「もう会えないのかと思ってた」
紡神社で祈ったことが叶えられないと思っていた。幽霊が見える担任の話を聞いても真実だとは信じがたかった。私には幽霊は見えないはず。幼い頃事故に遭ったとかという覚えはないから。だとしたらこれは夢かもしれない。幻か幻覚かもしれない。だけど、今はもう一度会えたっていう喜びの方が大きかった。
雨はすっかり止んでいて、眩しい日差しが雲の隙間から差し込んでいた。
いつも通り木の下に腰かけて菓子パンの袋をがさがさと開けてパンを頬張る。やはり味はしない。本当に何を食べているのかわからなくなるほどだ。
仁菜を失った悲しみは大きい。それと同じくらい料理の味は感じられなくなってしまった。
私はいつまでこんなご飯を口にしなきゃいけないのだろうか。
そうため息をつきながら思った時だった。
「胡桃」
懐かしい声が私を呼んだ。まさかと思いながら声がした方に顔を向けると、そこには黒く透き通った髪のポニーテールに少し曲がった鼻筋。そして小顔で少女漫画に出てきそうなぐらいに可愛い見た目をした少女が満面の笑みを浮かべながら仁王立ちしていた。
「仁菜?」
怪しく思って問いかける。死んだ人にもう一度会えるなんて普通はあり得ない話だから。
彼女はこくりと頷いて私のそばに寄ってくる。私は嬉しさのあまり仁菜に飛びつく。
「もう会えないのかと思ってた」
紡神社で祈ったことが叶えられないと思っていた。幽霊が見える担任の話を聞いても真実だとは信じがたかった。私には幽霊は見えないはず。幼い頃事故に遭ったとかという覚えはないから。だとしたらこれは夢かもしれない。幻か幻覚かもしれない。だけど、今はもう一度会えたっていう喜びの方が大きかった。