夢の終わり、交わした約束を胸に~紡~
あまりにも泣いていたせいで息を切らせながら仁菜は呟きだした。

「いじめられる前は当たり前のようにみんなから話かけられ、頼られ、友達もたったの一ヶ月でたくさんできていたのに……」

その声はだんだん、胸の奥に溜め込んでいた怒りを吐き出すかのように強く聞こえてきた。

「なのにどうして!まるで天国にいたのに、いきなり地獄に突き落とされたみたい。私が……私が、何をしたっていうの?」

仁菜は声を荒げてそう言った。

私の時と同じだ。最初は一人から始まり、それを見た人が無意識の内に誰かをいじめたいと思い、伝染していくかのように敵は増えていく。それがたとえクラスのムードメーカーだったとしても。掌を返すとはまさにこのことだ。

私の時のことを脳裏に鮮明に思い出してみる。あの時は仁菜に助けられ、相談した後、二人で先生のところへ行き、話をしたっけ。

そのおかげで事態は穏便に済まされたという覚えがある。でも今回は違うだろう。そんな気がする。

「私が死ねば終わるってみんな後悔してくれると思ってた。それをざまぁみろと空から眺めたかった。だけどあいつらったら……」

仁菜はそう言ってから一つ、盛大にため息をついた。

「他の人をいじめ始めたの?」

話の流れで大体そう予想ができてしまった。もしそうなっていたらその子も仁菜のように……。
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