・・・だって、大切な2人だから
私、悠夏(ゆうか)瑞穂(みずほ)唯斗(ゆいと)は隣り同士とお向かいさん。生まれたときから、一緒。いつも一緒でそれが当たり前すぎるくらい当たり前だった。

小学校。唯斗は男友達にからかわれるのも気にせずに、私と瑞穂と一緒に帰った。奇跡的に、私と唯斗、あるいは私と瑞穂、唯斗と瑞穂、が同じクラスになることが続いて、3人同じクラスになったのは6年生のときだった。

瑞穂は、どちらかと言うとと大らかでトロく、遊ぶとき、体育が得意な私と唯斗に置いてけぼりを食らうこともあった。そんなときでも瑞穂は楽しそうに、私たちが遊ぶのを見ていて、きゃあきゃあ、声をかけてきた。

中3になったころかな。もしかしたら、唯斗は瑞穂が好きなんじゃないか、と初めて思った時は。

「唯斗と悠夏に友チョコよ。手作りの生チョコなんだから、味わって食べてよね」

と言ったときの唯斗の表情が忘れられない。そんなの気にしないふりして、

「ありがとう。瑞穂のお菓子は最高だもんね」

って言った私だった。

「唯斗は?嬉しい?」

ちょっと、不安そうな顔で言った瑞穂を見たとき、ああそうか、と思った。

「幼なじみにしかチョコあげられないなんて、お前も色気ねえな」

照れ隠しなのがバレバレの唯斗の言葉だった。

きっといつか、3人じゃなく2人と1人になる。そんな予感がした中3のバレンタインデーだった。

ほどなく、3人とも同じ県立高校に進学が決まった。
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